2015/12/11のNOUS FMで使った曲
今回のsprout's dub 94 on NOUS FMでは2015年振り返り特集ということでトピックに沿って2015年を代表する曲を選曲した。
NOUS FM - sprout's dub 94 (Revenant & Batsu) - 11th December 2015 by Nous Fm on Mixcloud
Nömak & L'homme aux 4 lettres - Horsequake
"2015年ヘビーユーズした楽曲"というトピックでこの曲をチョイス。
NömakもL'homme aux 4 lettres(現在はLH4Lという名義で活動中)もフランスのトラックメイカーで、Point Pointというクルーのメンバーである。
LH4Lは現在OWSLAやMad Decentなどトップレーベルからのリリースを重ねており、要注目のプロデューサーの一人だと思う。
このトラックはリズムの面ではBmore/Jersey Clubに影響されているのだが、キック、ベース、クラップ等々全ての音が極限までソリッドになっており元のゲットーミュージックとしてのJersey Clubの面影は全くない。
サブベースで揺らすのではなく音域の広いキックやベースの打撃で乗らせるタイプのトラックなので、概ねどんなタイプの音響でも期待する鳴りが得られて使いやすい。
また個人的にこういった枠にはまらない曲が好きなので、sprout's dub 94クルーでの出演時だけでなく個人でDJする際にもよく使った。
彼らが所属するフランスのインターネットレーベル"Record Record"が主催するコンピレーション"Filet Mignon - Volume II"に収録されており、以下のサイトから無償でダウンロードできる。
ちなみにこのトラックの冒頭から鳴っている特徴的なパーカッションはSeductive - Underground Soundからのサンプリングだと思う。
Seductive- Underground Sound (Original Mix)
Porter Robinson - Goodbye To A World (Chrome Sparks Remix)
Porter Robinson - Goodbye To A World (Chrome Sparks Remix / Audio)
"2015年個人的ベストトラック"というトピックでこの曲を選んだ。
この曲はPorter Robinsonの"Worlds (Remixed)"というアルバムに収録されている。
このアルバムはPorter Robinsonの"Worlds"というアルバムのリミックス盤で、Deon Custom、Mat Zo、San Holo、Galimatias、SLUMBERJACK、Point Pointなどがリミキサーとして参加している。
Chrome Sparksと言えばハードシンセを用いた音作りが特徴的だが、原曲の合成音声のようなボーカルと機械的であると同時に深い情緒を感じさせるシンセサイザーの音色がよく調和していて素晴らしいリミックスワークだと思う。
以下のリンク先で販売されている。
K BoW x VDIDVS - B Who I Want 2 B
"今聴いている楽曲"というトピックではこの曲を紹介した。
このトラックは安室奈美恵 - B Who I Want 2 B feat. HATSUNE MIKUをJersey Club/Future Bassにリミックスしたもので、上記のsoundcloudのBuyリンクから無償でダウンロードできる。
K BoWとVDIDVSはどちらも日本在住のプロデューサーで、主にJersey Clubのトラックメイクをしている。
彼ら二人はアメリカの現地で活動するJersey Clubプロデューサーに近い音作りやサンプル使いを志向していて、彼らのトラックは例えばDJ SliinkやDJ R3llといったアーティストのトラックとミックスしても違和感がない。
この曲はそんな彼らの普段のトラックメイクから少し外れてよりFuture Bassを意識した方面に変化しているように思うが、そんな点がむしろ気に入っていてよく聴いている。
ちなみに、原曲の方もPC Music周辺で活躍しているSOPHIEがプロデュースしているということで話題となった。
安室奈美恵 / 「B Who I Want 2 B feat. HATSUNE MIKU」
Galimatias, Alina Baraz - Fantasy (Original Mix)
"今年のジャンル"という話題ではこの曲をチョイスした。
2015年は2014年に流行したFuture Bassがルーツの一つであるR&Bに回帰していく流れが強く、もともとBeat MusicとしてR&Bを基調としたトラックメイクをしていた人々と合流して大きな流れになっていたように思う。
この曲のプロデューサーのGalimatiasは後者の流れに属す人物でR&Bを洗練させたトラックを多く制作していて、この"Fantasy"はそのような作品を集めた"Urban Flora EP"に収録されている。
またそのEPのリミックス盤"Urban Flora Remix EP"にはVicesやGEOTHEORYといったFuture Bassのシーンで活躍しているアーティストもリミキサーとして参加していて、上記の合流を裏付けるものになっているだろう。
Tchami - After Life feat. Stacy Barthe (Point Point Remix)
"次来るかなと思うジャンル"というトピックではこの曲を選んでいたが、時間の関係上放送はできなかった。
先ほど挙げたR&Bの流れとはまた別に、フランス在住のトラックメイカーによるクルーであるPoint Pointやその周辺でBPM80~100の範囲でのトラックが2015年後半から多く作られている。
現行このBPM帯で流行しているTwerkやMoombahtonの影響は感じられないので、これもFuture Bassの進化系の一つでそれが発展し先鋭化していく複数の流れのうちの一つだと考えられる。
2016年に入ってからもおそらく、Point Pointや彼らが主宰するレーベルである"Record Record"に関わるプロデューサーたちからこのような音楽が多く出てくるだろうと思う。
ところで、このトラックはやはりフランス在住で"Future House"と呼ばれるジャンルの創始者であるTchamiのAfter Life Remixesに収録されている。
このリミックス盤はJauz、San Holo、DJ Snake & Mercerなどが参加しておりかなり豪華。
Moglebaum - You & Me (Live In The Shop)
"プッシュアーティスト"のトピックではこのアーティストを選んだ。
Moglebaumはドイツ在住のトラックメイカーや楽器演奏者からなるバンドで、上のPVのようにラップトップやドラムマシンとバイオリンなどの楽器が共存したライブを行っている。
soundcloud上でのフォロワーは2000人弱しかいないのだが、Beat Musicに生演奏のバイオリンやサックスを取り入れる手法は斬新だし、曲自体のクオリティも高いのでNOUS FMでも度々彼らの曲をプレイしている。
この曲のPVはタイトルのLive In The Shopの通り農村の食料品店で演奏する様子が撮影されており、店に来る客たちに奇異の目線を投げかけられている。
曲自体は上のbandcampのページから0ユーロから購入できる。
Rustie - Coral Castlez
"2015年印象に残ったニュース"としてはRustieの新アルバム"EVENIFUDONTBELIEVE"が突然発売されたことを挙げた。
Rustieのツイッターをフォローしているのだが、ある日それを見ていたら「明日出すアルバムの曲だよ!」と言ってsoundcloudに曲をアップロードしており「ほんまかいな」と思っていたら本当に翌日アルバムが出た。
このアルバムについてのRustieに対するインタビュー記事を翻訳しているのでそちらも合わせて読んでみてほしい。
日本からアルバムを購入するならwasabeatがいいと思う。
Taquwami - Napoli
"注目国内アーティスト"というトピックではこの曲を紹介する予定だったがこれも時間の都合上割愛した。
Taquwamiは神奈川県川崎市在住(らしい)の日本のアーティストで素性が全くの謎に包まれている。
このトラックはそんな彼(?)の新作EP"Moyas"に収録されていて、bandcamp上で1ドルから販売されている。
とにかく音作りも展開の作り方も国内だけでなく海外で同じような音楽を製作しているプロデューサーたちと一線どころか三線くらい画しているので一聴の価値があると思う。