2017-01-01から1年間の記事一覧

2017年に出た本の感想

2017年に読んだ本の感想をまとめておこうと思ったが、多いので2017年に出た本だけに絞って感想を書いておく。大体読んだ順に並べているつもりである。 宮澤伊織『裏世界ピクニック』 Daniel C. Dennett『From Bacteria to Bach and Back: The Evolution of M…

ダニエル・デネット『クオリアの歴史(2017)』和訳とコメント

原文:http://ase.tufts.edu/cogstud/dennett/papers/History_of_Qualia.pdf 要旨 クオリアという哲学者たちの概念は悪い理論化、特に(例えば)信念の志向的対象とその信念の原因の区別を認識し損ねるのことの遺物である。クオリアは、サンタクロースやイー…

夏季合宿での発表『アナログ的な世界について』

大学院の夏季合宿で『アナログ的な世界について(About the Analog World)』という題で発表をした。先生方からいろいろとコメントをいただいたのでそれを思い出したり検討したりするついでに原稿とスライドを丸上げしておこうと思う。原稿はこの記事にその…

Daniel C. Dennett "The Singularity—an Urban Legend?" 和訳

"Edge"という評論系のサイトに哲学者ダニエル・デネットが「シンギュラリティ」*1について語った記事が載っているのを見つけた。https://www.edge.org/response-detail/260352015年のものだが面白い内容なので人に勧めたところ日本語で読みたいとのことだっ…

ハイデガー『存在と時間』(三)③

存在と時間(三) (岩波文庫)作者:ハイデガー岩波書店Amazon 熊野純彦訳『存在と時間』第三分冊についての記事三つ目。この記事では第二篇第三章(第六十一節〜第六十六節)の内容のまとめと感想を書いていく。 第一分冊については以下の四つの記事に、ハイデ…

ハイデガー『存在と時間』(三)②

存在と時間(三) (岩波文庫)作者:ハイデガー岩波書店Amazon 熊野純彦訳『存在と時間』第三分冊についての記事二つ目。この記事では第二篇第二章(第五十四節〜第六十節)の内容のまとめと感想を書いていく。 第一分冊については以下の四つの記事に、ハイデガ…

ハイデガー『存在と時間』(三)①

存在と時間(三) (岩波文庫)作者:ハイデガー岩波書店Amazon 熊野純彦訳『存在と時間』第三分冊についての記事一つ目。この記事では第二篇第一章(第四十五節〜第五十三節)の内容のまとめと感想を書いていく。 第一分冊については以下の四つの記事に、ハイデ…

ハイデガー『存在と時間』(二)④

存在と時間(二) (岩波文庫)作者:ハイデガー岩波書店Amazon 熊野純彦訳『存在と時間』第二分冊についての記事四つ目。この記事では第一篇第六章後半(第四十三節〜第四十四節c)の内容のまとめと感想を書いていく。 第一篇第四章(第二十五節〜第二十七節)に…

心身二元論史

院試のために哲学史を勉強したのでついでに思ったことを書き留めておこうと思う。哲学史は見方によって様々な面を切り取ることができるが、ここでは心身二元論の起源と発展、批判に注目してみたい。基本的に私は心身問題に対してデネットの物理主義的立場に…